5月12日開花
ハンショウヅル
ドングリより少し大きめの詫びた
紫の花がぶら下がる
この地味小派手なあずき色にちょっと違和感を思うんだけど
知らぬ間に引きつけられて
年々深みを増してゆくんだよなぁ…
これも自然へのまなざしと言える玄人花のひとつで
やがては心に静かな安らぎを与えてくれる
このハンショウヅルへの視線
鮮明ではなく少し濁った色の落ちつきは土の色と似て
この日本的な美を身近に感じていることが
たぶん自分に宿り
表現の根底を支えている
俺は想う
その国々独自の文化はその土地独自の色彩の感覚を反映していると
その土地独自の色彩の感覚とは野草であり土の色から来ているのだと
アフリカにはアフリカの色彩があり
俺はこのハンショウヅルに日本の色彩を思うのだ
このハンショウヅルを見据えて目覚める感覚
遠いいにしえの、連綿と続いてきたこの身体に流れる血
今この時に生まれた点ではなく
永く続いてきた線に継ぎ足していくひとつの点
このハンショウヅルにそのひとつの点を想うのだ
残心の余韻、残心の余韻。