3月25日開花
アズマイチゲ
まだ霜柱が立つ
冬枯れの景色の中で
ポツンと咲く
わずか1ミリほどの
茎からすると
アズマイチゲは大輪の花である
花にとって
無情な放射冷却に耐えながら
春というには
熱のない白い太陽に向けて咲き
日暮れには花を閉じる
最上級な透明感は
春の妖精の名を与えて
惜しみない
その弱々しくも凛と立つ姿
この頬も感じぬ微風に
震えて咲く姿は
切なさと哀しみの
感情が生まれて
追い越してしまうほどの美しさ
光と肥よくな土が好きな
アズマイチゲ
お前が咲くと
この樹林の野草達が目覚めて
動き出す春告げる花
お前が大群生できないのは
あとひとつ
何かが足りないんだな
白磁の冷たい光と
カラカラ乾いた枯れ葉の間に
咲く真空の花
俺ははじまる春の感動を
お前に囲まれていたいと
願っている
凛と立つ妖精の花アズマイチゲ
おぉ、キレイキレイ。